米消費者物価指数が発表されました。
対前年同月比で2.5%上昇と比較的高い伸びとなったようです。
結果、日米実質金利差はさらに縮小となりました。
今後さらに縮小すれば、ドル円相場も今よりも円高方向に動く可能性もあり、今後の展開について改めて考えてみます。
目次
1.現在の日米実質金利差とドル円相場の関係は?
ドル円相場と日米実質金利差の最新のチャートを見てみましょう。
日米実質金利差は昨年末から約1%程縮小しており、それと連動してドル円相場も円高方向に振れているのがわかります。
今後さらに縮小するのか?それとも今後は拡大していくのか?
気になりますね。
2.日米実質金利差の今後の動向は?
以前、日米実質金利差からみたドル円相場で紹介した通り、
日米実質金利差は以下のパラメータで構成されています。
(日米実質金利差)=(米・10年債利回り)+(日・CPI)-(米・CPI)-(日・10年債利回り)
このパラメータについて一つずつ見ていきます。
2.1.米10年債利回り
米10年債利回りは金利差拡大に寄与します。
先日のイエレンFRB議長の発言では、
「緩和解除を長く待ち過ぎることは賢明ではない」
「待ち過ぎればFOMCは最終的に急速なペースでの利上げを迫られる可能性がある」
といった内容があることから、
米10年債利回りは下落するような展開は考えにくいと思います。
今後は上昇or維持といった動きになると予想。
2.2.日10年債利回り
日10年債利回りは金利差縮小に寄与します。
といっても、政策金利は当面維持される見通しである事、日銀によるイールドカーブコントロールがある事から、今後もほぼ0%と予想。
2.3.米消費者物価指数(CPI)
米CPIは金利差縮小に寄与します。
以前にも紹介した通り、米CPIは原油価格と連動性が高くなっています。
現在のチャートを見てみましょう。
相変わらず高い連動性を示しています。
ただ、原油価格(前年同月比)が直近で示している90%という数字は、昨年の原油安から急上昇した事によるものなので、CPI(前年同月比)とは大きくかい離すると考えられます。
2000年付近や2010年付近が良い例で、この時も原油価格が急激に変動したため前年同月比で大きく上昇しました。
いずれの場合も、CPI(前年同月比)は原油相場の変動が落ち着いた後の水準(ピークから2ヶ月ほど後)を目指して上昇しました。
今回も同様の展開になると想定して、3ヶ月先までの原油価格(前年同月比)を追加したチャートを見てみましょう。
ちなみに原油価格は現水準のままで算出しています。
チャートを見ると、どうやら今回出たCPI(前年同月比)2.5%を超える事は直近では無さそうに思います。
今後数ヶ月は2.5%以下の数値で推移すると予想。
ただし、原油価格が上昇すれば2.5%を超える可能性もあるので注意。
2.4.日消費者物価指数(CPI)
日CPIは金利差拡大に寄与します。
こちらは円換算原油価格(10ヶ月遅れ)と連動性が高くなっています。
現在のチャートを見てみましょう。※3ヶ月先までの原油価格(前年同月比)も追加
直近の日CPIが上がってきた事から、今後も円換算原油価格(前年同月比)と連動して推移しそうです。
チャートがピッタリ重なっている訳では無いので具体的な数値は予測できませんが、1%近い数字もいずれ出てくると思います。
今後数ヶ月は0.3%以上の数値で推移すると予想。
2.5.金利差の見通し
以上をまとめると、
米10年債利回り → 上昇or維持
日10年債利回り → 維持
米CPI → 下落or維持
日CPI → 上昇or維持
実質金利差の式に当てはめて考えると、
(日米実質金利差)=(米・10年債利回り)+(日・CPI)-(米・CPI)-(日・10年債利回り)
どうやら今後は現水準を下回ることなく、むしろ拡大していく方向になりそうです。
3.まとめ
以上、日米実質金利差の動向を予想してみました。
果たして今後どうなるのか?
楽しみですね。