日米実質金利差からみたドル円相場

米大統領選でトランプ氏が勝利した後、急速にドル円が円安方向に動きました。

この流れはいつまで続くのか?といった話題があちこちで挙がっています。

その中で、こんなことを耳にしませんか?

「日米実質金利差から見るとドルは買われ過ぎだ」

「日米実質金利差が拡大すればさらなる円安もあり得る」

“日米実質金利差”を元にした見解が気になったので調べてみました。

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1.日米実質金利差とは

1.1.日米実質金利差って何?

まずは基本的な事項です。

 日米実質金利差・・・名前の通り、日米間の”実質金利”の差のこと。
    実質金利・・・名目金利から予想される物価上昇率を差し引いたもの。※wiki参照

 (実質金利)=(名目金利)-(インフレ率)

 名目金利・・実質金利の話をする際は政策金利や10年債利回りが使われる事が多い。
 インフレ率・・実質金利の話をする際はCPIやコアCPIが使われる事が多い。
 CPI・・消費者物価指数のことで物価変動を知るための指標。
 コアCPI・・CPIから価格変動の大きい生鮮食品を除いたもの。

1.2.ドル円相場との相関性ってあるの?

実際に日米実質金利差を計算し、グラフを作ってみました。(2016/12/15時点)

※色々なパターンを試してみた結果、名目金利については10年債利回り、インフレ率についてはCPI(対前年同月比)を使ってます。

グラフを見ると、確かに日米実質金利差とドル円相場には相関性がありますね。

所々大きくかい離している部分がありますが、まさに今が適正水準のように思えます。

「日米実質金利差から見るとドルは買われ過ぎだ」って見解は何故???

答えはすごく簡単でした。

上記グラフの縦軸をちょっといじってみます。

これを見ると確かにドルが買われ過ぎ(円安)ですね。

どちらが正しいのか分かりません・・・(笑)

ただ、少なくとも

“日米実質金利差が増加(減少)すればドル円相場は円安(円高)方向に動く”

という流れは重要ポイントとして押さえておいた方が良さそうです。

2.日米実質金利差は予測できる?

2.1.日米実質金利差を構成するパラメータ

日米実質金利差とドル円相場には相関性があるものの、適正水準を探るというよりは寧ろ“相場の流れを把握するツール”として使うのが良さそうです。

そして、今後の日米実質金利差がどうなるかを予測することができれば、ドル円相場の展開さらには日経平均株価の展開を予測できるはずです。

日米実質金利差の行方を予測するために、まずは構成するパラメータを見てみましょう。

(日米実質金利差)=(米・実質金利)-(日・実質金利)

         =(米・10年債利回り-米・CPI)-(日・10年債利回り-日・CPI)

         =(米・10年債利回り)+(日・CPI)-(米・CPI)-(日・10年債利回り)

上記のように、日米実質金利差は4つのパラメータから成り立っている事が分かります。

2.2.各パラメータの影響

それぞれが日米実質金利差に及ぼす影響は下記の通りとなります。

<拡大要因>

米・10年債利回りの上昇
日・CPIの上昇
米・CPIの下落
日・10年債利回りの下落    

<縮小要因>

米・10年債利回りの下落
日・CPIの下落
米・CPIの上昇
日・10年債利回りの上昇

2.3.各パラメータの増減要因と見通し

次は各パラメータが何に起因して動いていくかを調べてみましょう。

<米・10年債利回り>

当然ながら政策金利の動向に左右されます。

政策金利は景気拡大時(高インフレ率)に引き上げられ、反対に景気減速・後退時(低インフレ率)に引き下げられます。

米国の目標インフレ率は2%となっており、下記グラフから推測するに米・10年債利回りは3~4%程度を今後目指して行くような感じがします。

<日・10年債利回り>

基本的には米・10年債利回りと同様の要因で動きます。

ただ、日銀金融政策により今後しばらくは政策金利は低水準のまま据え置かれる見通しで、さらに”イールドカーブ・コントロール”の導入で10年債利回りは0%近辺を維持する見通しとなっています。

<米・CPI>

下記グラフから米・CPI(前年同月比)と原油価格(前年同月比)は高い相関性を示している事が分かります。

そして原油価格の変動が小さい状態ではCPIは1~3%のレンジで推移し、価格変動が大きい局面ではそれに合わせてCPIは大きく変動する特徴があります。

今後の展開ごとに場合分けすると、

原油価格↑・・・CPIは合わせて上昇し4%を目指す。
原油価格→・・・CPIは現水準の2%程度をうろつく。
原油価格↓・・・CPIは0~1%に減少する。
※現時点ではざっくり計算です。詳細は後記。

<日・CPI>

下記グラフから日・CPI(前年同月比)と円換算・原油価格(前年同月比)は相関性があるように思えます。

日米ともに物価と原油価格が連動しているようです。

そしてさらに原油価格を10ヶ月ずらして重ね合わせたグラフの方が相関性が高く見えることから、日本の場合はおよそ10ヶ月遅れで物価に反映されているという事が分かります。

今後の展開を予測すると、

原油価格↑・・・CPIは合わせて上昇し2%を目指す。
原油価格→・・・CPIは1%程度に上昇する。
原油価格↓・・・CPIは現水準の0%前後のまま。
※現時点ではざっくり計算です。詳細は後記。

ただし、日・CPIに関しては本来予測するはずであるドル円相場の影響を受けてしまうことからもう少し深く考えた方が良さそうです。

2.4.今後の日米実質金利差の予測

実際に今後の日米実質金利差を予測してみようと思います。

条件は以下のような感じです。

正確な数値を予測するのではなく、全体の流れを予測するための条件設定です。

<条件>

1.米・10年債利回りは2.5%・3.0%・3.5%

2.日・10年債利回りは0%

3.原油相場は上昇(75ドル)・横ばい(55ドル)・下落(30ドル)

4.CPIは原油価格との相関性から推測

※原油相場・利回りの数値は約2年掛けて緩やかにその数値に到達した場合を想定しています。

上記条件の元、出来上がったグラフがこちらです。

3つのグラフを比較するといずれも似たような推移をしていることが分かります。

つまり全体的な流れを把握する上では目先の原油価格や利回りを予測する必要は無いということでしょう。

当然ですが米・10年債利回りが高くなるほどグラフ後半の数値が高くなっています。

2.5.今後の展開

それではグラフから浮き上がる日米実質金利差の今後の展開を見ていきましょう。

2017年前半から中盤にかけ徐々に縮小。

2017年中盤に反転後、2018年前半にかけて現在水準(約1.0%)と同等かそれを上回る水準まで拡大

その後2018年後半にかけ徐々に縮小。

ざっくりこんな感じで推移していますね。

そして、ドル円相場もこれに連動して推移していくとするなら、

2017年前半は日米実質金利差の縮小を材料に一旦円高方向(100~110円/ドル)に進む。

2017年中盤に拡大の兆しが見えたタイミングで反転後、2018年前半にかけて円安方向(115円~125円/ドル)に進む。

あとは米・10年債利回り次第。

といった、展開になるのではないでしょうか?

3.まとめ

以上、日米実質金利差について調べてみました。

まとめると、

日米実質金利差とドル円相場は相関性があるが、適正水準の話をする程の連動性は無い。

ただし、今後のドル円相場の動きを見る上では重要。

日米実質金利差は予測できる可能性がある。
(今回の予想がもし実現するようなら・・)

いずれにしても、日米10年債利回りの動向や今後発表される日米CPIは要注目ですね。

※一応書いておきますが、今回の予想内容は”日米実質金利差とドル円相場に相関性がある”、”日米のCPIと原油相場に相関性がある”、”相場が急激ではなく緩やかに変動する”という3つ前提の下で推測してますので、信憑性は低いです。参考程度に。

※データ元
日本のCPI・・・統計局のホームページ
米国のCPI・・・UNITED STATES DEPARTMENT OF LABOR
その他・・・Investing.com


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