総会おじさんです。
今回はフリークアウト・ホールディングスの第7回定時株主総会に行ってきました。(2017/12/21)
せっかく参加したので総会で得た材料や投資判断についてまとめてみました。
是非ご参考にして下さい。
この活動の目的などはこちら→株主総会で投資の幅を広げよう
目次
1.フリークアウトってどんな会社?
1.1.事業概要
フリークアウトは、「人に人らしい仕事を」というのを経営理念に掲げ、主に広告効果最大化を支援するためのDSPプラットフォームを提供している会社です。
インターネット広告のリアルタイム取引を日本で初めて事業化し、広告取引を人の手からコンピュータ間の取引に変えていくことを目指したのが、フリークアウトのはじまりだそうです。(フリークアウトHPより)
主な事業は以下の通りです。
<DSP事業>
RTB技術を用いてインターネット広告におけるリアルタイム広告取引を行うプラットフォームとして、適正な価格で広告主にとって必要な広告表示機会だけを買い付け広告効果を最大化する『Freak Out』、最先端の独自機械学習エンジンを搭載したモバイル特化型の『Red』を提供しています。
また、ネイティブアドプラットフォームとして、メディアの構成に合わせて広告クリエイティブを自動的に最適な形で掲載するアドネットワーク『Hike』、LINEの運用型広告プラットフォーム『LINE AD Platform』の提供をしています。
他にも、トレーディングデスク事業や、プレミアムメディアの自社広告プラットフォームの構築を支援するサービス『Red for Publishers』を提供しています。
<DMP事業>
データ保有事業者から多様な膨大なデータ(1stPartyデータ、3rdPartyデータ、オフラインデータなど)を集め、DMPプラットフォームにて蓄積・解析を行い、広告主・広告代理店に対してDMPプラットフォームの提供・構築支援、及びデータ活用のコンサルティングサービスを提供しています。
また、広告主がもつ自社(広告主)サイトのアクセスデータ、広告配信データ、会員データ、購買データ等のビッグデータを分析・解析するPrivate DMP『Mother』の提供をしています。
<その他事業>
・デジタルサイネージ事業
日本交通のタクシーにサイネージ対応端末を設置し広告配信するサービスを提供しています。
・FinTech事業
リスクを補償するサービスを提供しています。
1.2.業績推移
売上高については順調に拡大しており、17/9月期は前期の約2倍に成長しました。利益についても売り上げの拡大に伴い、投資分を回収し始め、16/9月期に大きく改善し、17/9月期は大幅に拡大しています。
18/9月期は、売上高16,100百万円(前期比34.0%増)営業利益30百万円(前期比95.0%減)経常利益720百万円(前期比40.4%減)EBITDA1,240百万円(前期比13.2%減)親会社に帰属する当期純利益260百万円(前期比69.1%減)を計画しています。売上は大きく伸びるのですが、先行投資を優先させる事などから利益は大きく減少する見通しとなっています。
2.総会について
2.1.主な内容
報告事項の主な内容は以下の通りです。
・17/9月期の業績は、売上高12,019百万円(前期比107.5%増)営業利益601百万円(前期比67.8%増)経常利益1,208百万円(前期比115.2%増)EBITDA1,428百万円(前期比108.3%増)親会社に帰属する当期純利益842百万円(前期比113.6%増)となった。
・個人投資家、国内外機関投資家への統一的な指標による説明と一時的な影響を除外した恒常的な収益力を測定する観点から、EBITDAを業績指標として採用している。
・広告業界は元々、広告主→代理店→アドテク企業という流れだったが、コンサル企業→広告主→代理店→アドテク企業という形で、コンサルが広告主の上に立って代理店の仕事が奪われだした。さらに、AI企業→コンサル企業→広告主→代理店→アドテク企業という形になり、コンサルの仕事ががAIに脅かされるようになる。アドテクより上の領域にしっかり広げていく。さらに他の世界にもチャレンジしていく。
・データ解析により一人一人が何者なのかが分かっている事が強み。それを活かして、Gardiaで保証サービスを展開している。CASHというサービスでもGardiaの技術を活かしてリスクを引き受けるサービスをしている。
・海外拠点が着実に増えており、アジア主要部には全て入っている。
・DSP事業ではデマンド側をメインにやってきたが、サプライ側も攻めていく事で事業を拡大している。
・OtoO事業として、日本交通とJVを始めた。デジタルサイネージは東京に住んでてタクシーを乗るような人なら見た事ないくらいの規模になった。東京の日本交通のタクシー全台に入っている。手応えが良い。間違いなく上手くいくと思っているので広げていきたい。
・位置情報の解析サービスなどはAI企業やコンサル企業が欲しがっているデータでは無いかと考えているので、期待が持ている部分だと思っている。
・中期経営計画の業績目標として、20/9月期に売上高330億円、EBITDA30億円を設定。文字通りのグローバル企業になる事や、広告の外に飛び出す事で達成したい。
詳細は第7期定時株主総会招集ご通知や2017年9月期 通期決算及び中期計画等 説明資料をご覧下さい。
決議事項については全て可決でした。
事業説明会は、上記の通り総会中にありました。
※録音等はしていないので聞き間違いや漏れなども多々ありますのでご了承下さい。
2.2.質疑応答
<株主総会での質問>
質問:社長の兼任について
回答:事業立ち上げに当たり私が入り込んでやる事が多かった。その中で取締役に入っている状況。足元ではインティメートマージャーは退任した。事業が立ち上がれば各子会社の経営陣に任せていく。時間の経過とともに減っていくと思う。
質問:株主還元は?配当は?
回答:PERからみても、急成長が期待されていると認識している。再投資に回し事業を拡大させ、株価を上げる事を重視する。
質問:海外の管理体制は?
回答:専任の担当を置いて、しっかりできる体制を作っている。取締役新任予定の安倉を置いて強化していく。
質問:役員報酬の考え方は?
回答:2億円を承認貰ったので、2億円全て使うという事ではない。ゆとりを持った形で承認を貰っている。役員報酬は柔軟に変更可能で、結果責任としてまずは経営陣が負う。過去にほぼゼロにした事もある。
質問:国内子会社を100%にすべきでは?
回答:買収前の経営者がそのまま経営している。インセンティブを持たすため株を保有し続けてもらうケースもある。
質問:LINEの広告売上が上がっているのに、フリークアウトのDSP事業が上がっていない理由は?
回答:LINE運用型広告枠はLINE AD Platformで買う場合とRedで買う場合がある。Q1、Q2ではRedが30%~40%で推移したが、Q3、Q4では15%~20%で推移した事が要因。Redの方がLINE AD Platformよりも優位性があったが、時間の経過とともにLINE AD Platformのシステムが洗練されてきた。なので15%~20%という数字は妥当な水準。これからも15%くらいを獲得していくと考えている。
質問:LINE広告の今後の見通しは?
回答:今後はシェア自体は意図的に下げていく。LINE頼りにならないようにやっていく。
質問:アイリス社の持分適用は?
回答:検討の段階に入っている。連結化のメリットがあると判断したタイミング。
質問:海外戦略は?
回答:国内でやっている事を海外に移植するだけではなく、ユニークな会社かつ海外展開したい会社があれば組んでいきたい。インドで行った投資では、日本立ち上げの支援をしたりという例もある。プロダクトが世界に出ていきやすいか、当社が手伝う事が容易かといった事を選考基準にやっていく。
質問:広告詐欺について
回答:アメリカで起きてる事が日本で起きるのか?広告効果を見ている広告主とクリック数を見ている広告主で異なる。当社は広告効果の方なので影響は無いのかなと思う。
質問:IFRSにしないのか?
回答:検討は続けている。
質問:株主に対しての情報が少ない
回答:ログミーに出したのはIRの一環。徐々に体制ができてきている。ただ、競合を考えると、どのくらい本気度を見せていいのかを気にしなくてはいけない事もご理解いただきたい。
質問:AppleやGoogleのポリシーの変更によるリスクは?
回答:影響が大きい事を理解しながらやっている。ITPの所でメディアを賑わせているが、メディアを見ていると突然のようにみえるが、そういった示唆は事前にコミュニケーションを通して行われている。その中で対応しコントロールしていけば、いきなり事業が成り立たないといった状況は避けれれる。
※録音等はしていないので聞き間違いや漏れなども多々ありますのでご了承下さい。
2.3.注目材料
『強み』
データ解析によって一人一人が何者かが分かる事が強みだそうです。確かに、その人がどんな人か分かればそれこそダイレクトにアプローチできるので、すごい武器だと思います。これを活かしての事業展開には期待したくなりました。
『事業展開』
AIやコンサルといったアドテクより上の領域にしっかり広げていき、さらに他の世界にもチャレンジする。また、文字通りのグローバル企業になる事や広告の外に飛び出す事で拡大していくとの事でした。
2.4.お土産
お土産はありませんでした。
3.投資判断は?
3.1.株価水準
株価:2,658円(12/21終値)
EPS:19.57円、BPS:309.99円、配当:0円
PER:135.82倍、PBR:8.57倍、配当利回り:0%
ROE:6.31%、ROA:2.60%
※EPS等は会社予想を参照
PERは100倍を超えており、かなりの成長が期待されているようです。
EPSが約7倍になるとPER20倍の水準になりますが、17/9月期の営業利益率(約5%)から考えると、EPS140円になるには純利益が18.4億円なので、約566億円の売上高が必要になります。17/9月期の売上高は約120億円なので、約5倍に拡大すれば何とか元が取れそうだという水準です。
18.4億円÷65%÷5%≒566億円
3.2.成長性
成長性に関しては、市場からも期待されているように十分あるのでしょう。
既存事業、海外、新事業それぞれが順調に行けば大きな成長が期待できそうですし、既存事業だけをみても売上を伸ばしている事を考えるとまだまだ成長余地があるように思います。
3.3.まとめ
市場からも期待されているように、成長性は十分ありそうなので買っても良さそうに思いますが、PER100倍超えはなかなか手が出しづらいと思います。
ちなみに株価は17/11月初め(決算発表前)には4,000円以上の値が付いていました。決算発表を期に急落し、現在は2,500円程度となっている状況です。一旦は4,000円以上で買いたい人がいたという事実がありますので、そう考えると今の株価水準は割安と判断するのもありかも知れません。
566億円を売上げる会社になると思うなら保有してもいいのではないでしょうか?